十石峠【秋のトレイル】展望山
長野県南佐久郡佐久穂町と群馬県多野郡上野村の間にある国道299号線・標高1351メートル十石峠をトレイルしてきましたので紹介します。
十石峠【秋の紅葉トレイル】展望山
十石峠は、国道299号線にある妙義荒船佐久高原国定公園に位置する群馬県多野郡上野村と長野県南佐久郡佐久穂町を繋いでいる峠です。
十石峠の名前の由来
十石峠は、じっこくとうげと読みます。
群馬県の西上州には、田んぼがなくお米が取れないため、信州から上州へ1日十石のお米「佐久米」が「十石馬子唄」を歌いながら馬で運ばれて来たことから十石峠と名付けられたといわれています。
米1石の重さは約140~150キロ。
毎日約1500キロのお米を、この峠を歩いて運んでいたんですね。昔の上州の生活を守っていた貴重な峠です。
現在は、十石峠は自然災害で全面通行止めになっています。
十石峠展望台までは、長野県の佐久穂側から入ることが出来ます。十石峠展望台先の群馬県上野村には、抜けることが出来ません。又群馬県上野村から入ることはできません。
長野県の古谷ダムから十石峠を秋の紅葉トレイルをしてみました。青空と紅葉と秋の風の中とても気持ち良く歩くことが出来ました。
十石峠展望台
十石峠には長野県側の佐久穂町に展望台があります。展望台からは、東方の妙義山から赤久縄山まで西上州の山々、東南方面には、稲含山から両神山までの大展望を眺めることができます。
十石峠展望台の隣では、赤い帽子をかぶったとても愛らしいお地蔵様が迎えてくれます。
十石峠トレイル
十石峠は11月初旬から紅葉が見頃でとても綺麗です。自然災害で通行止めになっていることもあり、とても静かな地です。静寂の中を歩きながら見る十石峠の自然の景観は時代の流れを感じさせてくれます。
長野県側から入る十石峠のトレイルは、今回は落石もなく歩きやすかったです。道路状態も悪くはありません。時代かかったガードレールも、十石峠の魅力ですね。
抜井川を遡りながら歩く十石峠は、心地良く耳を澄ませば鹿や鳥の鳴き声がしています。途中で抜井川に降りることが出来る場所があり、川のせせらぎにとても癒されます。
旧十石峠
群馬県多野郡上野村には、旧十石峠も残されています。当時の歴史を感じながら旧十石街道を歩くことが出来ます。上州から信州に向かう旧十石峠の最後の集落だった白井集落には、たくさんの歴史が今も残されています。旧十石峠は、白井集落から入っていきます。
旧十石峠トレイル
旧十石峠は、砂崩箇所や倒木箇所・土砂崩れ箇所もあります。
旧十石峠は、土砂崩れや落石などでかなり峠道は、荒れてます。
十石峠と白井集落
信州から十石峠を越えて、上州の白井集落に十石の米を毎日運んでいたという白井集落では、道祖神・観音堂、白井関所跡の碑や街並み風景も見ることが出来ます。当時この地には宿屋、酒屋、飲食店などの多くの商店があり明治中頃まで繁栄していたそうです。又現在は、白井集落と周辺の山々を眺められる遊歩道(山道)があります。
十石峠隣接・矢弓沢線
矢弓沢線のトレイルも大好きなのですが、現在は自然災害で斜面が崩れています。
先日の矢弓沢線トレイルの時では、災害個所の復旧工事ももうすぐ終わりそうです。開通までもう少しだそうですよ。
旧十石峠とほぼ平行に位置し十石峠に繋がっている林道矢弓沢線は現在、路肩決壊や土砂流出で通行止めになっています。
十石峠・矢弓沢線【通行止め解除】
2022年のゴールディンウィークに十石峠と矢弓沢線が通行止めが解除になります。
十石峠の通行止め解除 2022年4月25日 13時~
矢弓沢線通行止め解除 2022年4月29日 8時~
長い間通行止めだった十石峠及び矢弓沢線が通行できます。
十石峠カイト山【白板山】
今年の夏に、十石峠展望山の東側に位置する西上州カイト山に登った時には上野村から、旧十石峠を越え10キロ程歩いてカイト山に登りました。又春には、アカヤシオが綺麗です。カイト山山麓にも咲き乱れます。林道矢弓沢線復旧工事をしてくださっている工事現場の方と色々なお話ができました。
林道矢弓沢線が自然災害で通行止めになってからは、カイト山登山口まで、気軽に行けて登れる山でした。現在はカイト山へは、林道矢弓沢線と並行にある旧十石峠を越えて登山道に入ることが出来ます。旧十石峠を越えている途中の峠道トレイルからはカイト山を見ることも出来ます。倒木や土砂崩れもあり荒れている箇所が多くなっています。
通行止めの影響もあり、カイト山へのトレイルはとても荒れています。尾根に上がるまでは、藪漕ぎもあり、崩れている箇所もあります。カイト山山頂の両側が切れ落ちたナイフリッジの痩せ岩稜帯は、かなり滑りやすく砂崩などでとても不安定な岩場になっており、災害前とは全く違う状況になっています。岩稜帯の山頂は360度の大パノラマです。西上州の山並みの絶景が広がります。
カイト山はクライミングにもおススメの岩峰です。
展望山
十石峠に寄り添うように、展望山(標高1470メートル)があります。
現在全面通行止めになっている十石峠から展望山に久しぶりに登ってみました。展望山の登山道は、災害復旧中で通行止めとなっています。展望山へバリエーションルートで登ってみました。展望山の登っている稜線の途中から見える十石峠の峠道の風景には、クラシックな雰囲気を感じます。
藪漕ぎをして斜面を登っていくと尾根から入ることができ展望山に到着。展望山山頂は、展望はなく雑木林の中に、三角点と1本の棒のみが山頂表示です。展望山山頂は、丘のようになっており草むらと藪に包まれていました。背後には、山々が鮮やかな紅葉に染まっていました。
展望山周辺から見る山々は、一面の紅葉になっています。展望山の西方面には長野県、四方原山があり、東方面に、群馬県、白板山(カイト山)があります。又南には、ぶどう峠があり、ぶどう岳、赤火岳(ツギノス)、新三郎山、その奥の南西には、佐久市の名峰、二百名山である御座山(標高2112メートル)が位置しています。展望山は、西上州と信州の山々に囲まれた大自然の深い山の奥にあります。
展望山の山頂からの景色は見ることができませんが、展望山の南山麓では、奥秩父山魂・秩父三山の一座である日本百名山の両神山がとてもよく見えます。
十石峠【秋のトレイル】展望山は、バリエーションで登るとても素敵なトレイルです。
栂峠
十石峠周辺には、隣接している峠がたくさんあります。
ぶどう峠・栂峠・余地峠・大神峠すべて自然災害で、通行止めになっています。現在群馬県から長野県に車両通行できるのは田口峠と内山峠だけになっています。
群馬県多野郡上野村と長野県南佐久郡北相木村との境の1500メートル程の位置にある峠で、十石峠に隣接している栂峠(つがとうげ)があります。
栂峠も現在通行止めになっています。
十石峠から栂峠へ入り、新三郎にも登ることが出来る峠になっています。新三郎から先は、ぶどう岳・ぶどう峠と続いて行きます。岩稜帯の多いルートになっています。
古谷ダム
南佐久郡古谷地籍抜井川に古谷ダム(こやだむ)があります。信濃川水系抜井川の千曲川合流地点から上流の約12キロメートルに1982年に建設されたダムです。抜井川は、長野県の東部に位置している群馬県境の十石峠を源流として、299号線の武州街道に沿うように流れています。新三郎沢と合流地点もあり、とても静かな山合いの中を流れています。
古谷ダムの東にある抜井川は、とても紅葉の中美しい秋の景観です。なめらかに静かな流れる川を見ているとゆっくりと流れる時間を感じさせてくれます。
古谷ダムも紅葉がとても綺麗です。古谷大橋も情緒ある深い味わいを感じさせてくれます。
古谷大橋の右方に古谷ダムがあり、橋の手前の脇には、隣接している林道大上線は、自然災害にため現在復旧工事中が続いています。林道大上線には、大野沢の流れに沿うように、広小屋山山麓の南北の余地峠、矢沢峠、大上峠の歴史ある峠道に繋がっていきます。その先の群馬県南牧村の自然公園周辺は、道路は陥没し破壊されています。
林道大上線には西上州の岩峰・のこぎり岩の登山口に繋がっているので、のこぎり岩に登る時は矢沢峠と大上峠を通るわけです。
十石峠から、寄り道をして林道大上線を、少し歩いてみると周囲の山々は、想像通りの大紅葉でした。林道大上線もわたしの大好きな古道のひとつです。
古谷ダムの南側には、遊歩道がありお山の中腹に東屋や展望台がありますので、滑りやすい箇所もありますが、軽いハイキングも出来ますよ。
四方原山の北側に位置する古谷ダムは、大自然を感じさせてくれるとても素敵なダムです。ダムから見上げる十石峠方面の山々の景色も美しいです。空と古谷ダムの景観にはとても癒されます。
乙女の滝【古谷渓谷】
十石峠を歩いて行く途中に左側の標高1060メートルの位置にある古谷渓谷に、乙女の滝があります。乙女の滝への遊歩道は、崩落しているため通行止めになってます。遊歩道からは滝へ行くことができません。
マイナスイオンたっぷりの自然の滝は心を落ち着かせてくれます。「乙女」と同名の滝は、たくさんありますが、乙女ではなくても乙女のような気持ちになり見たい滝です。古谷渓谷の乙女の滝は、巨石を乙女の顔、その両端に流れる2つの滝が、女の子のおさげに見える滝なので乙女の滝と言うと色々な由来がありますが、巨岩から抜井川に流れ込んでいく乙女の滝からは、力強い乙女を感じさせてくれますね。
巨石を挟んで、秘境感漂う小谷渓谷にある乙女の滝は両端に流れる落ちる2つの小さな滝ですが、滝つぼまで降りることが出来るので、夏はミストシャワーが浴びられます。空気が澄んでいてとても気持ちが良い場所です。周辺には、「乙女の森治山パーク」もあります。
十石峠の伝統【十石みそ】
昔は、群馬県の西上州には、田んぼがなくお米が取れないため、お米を歩いて運び生活を守っていた十石峠。群馬県上野村では、数百年の間受け継がれてきた昔ながらの製法で作る伝統ある十石峠の十石みそが受け継がれています。
現在では、十石みそを使った様々な商品もアレンジして販売されています。
まとめ
十石峠【秋のトレイル】展望山はいかがでしたか。
時代の流れと共に、変わりゆく道には、自然災害で失われていく峠道も多く、群馬と長野県境周辺の古道は、歩くのにとても困難な古道もあれば、方向さえわからくなる深い山の中にある藪こぎ古道もあります。
昔は歩けた道でも、現代はたどり着けない古道もあります。大自然の中に、残されている古道や峠道を歩いて生まれた感情からは、素晴らしいパワーをもらえますよ。是非しっかりした装備でトレイルしてみてくださいね。
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